2010年05月31日
みんなに支えられたMOLOKAI2010 (3)
2010.5.16AM11:00スタートの合図とともに世界中のパドラーが島めがけて漕ぎ出す!!
僕はトップ10を目指して、スタートから前に出た!
前にはディーンやクリント、世界のトップパドラーが漕いでいる
スタートから30分、トップの背中が見える位置をキープしながら
右斜めから崩れてくる波にアヤハブラをあわせ、確実にサーフィンしていく
だんだんうねりも高くなり、先頭を漕ぐ選手は右に右に進路を変えていくのが見えた
僕も右に進路を変えたかったが、この時腕の異変にきづいていた・・
興奮を抑えられないで理性を失い楽しむことを完全に忘れていたせいで
両腕が痺れだし感覚もなくなり、パドルを握ることさえ困難になっていた。
どうにか波に乗りながら腕をほぐすがぜんぜん間に合わない・・・
波に乗ると斜め左に進路をとることになるので、目的の島から離れて漂流してしまう
波風はどんどん横からかぶってきて強さを増すばかり、腕は上がらない・・・・・・・
最悪の条件がそろった、周りは誰もいなくなり、横には伴走艇が僕を見ている。
このとき完全に漕ぐのを止めていた。

聞こえるのは風の音と波が崩れる音だけ・・・
頭の中で弱い自分がささやく、「ここで手を上げれば伴走艇に助けられてみんなが待っている
奄美に帰れるよ・・・・」

そんな時だった、、みんなの応援の言葉や今までの出来事、いつも乗っているアヤハブラのこと
考えると気持ちが落ち着き自然と足を海につけて両腕をつけてその時間を楽しむことにした。
今できることをしよう!楽しもう!こうなることも決まっていた!これから先が大事なんだ!
自分に言い聞かせるように叫んだ。
一時間近くみんなに見守られている気持ちの中おお時化の海峡にいた。
小さな頃泳ぐこともできないでアトピーに悩まされ喘息を起こしては学校を休んでいた。
そんな自分が嫌でしょうがなかった・・・いろんな人に迷惑をかけて悪さもしていた・・・
なにか夢中になれることを必死で探していたから何でも挑戦することはあきらめなかった。
ただそれだけが取り得だった・・・でも今は違う、夢もあるし、夢中になれる日々がある
いろんな人に支えられ、出会い、感謝の気持ちが自然と身につき素直になれた。
人は人によって変われるんだなって、思えたのも僕の師匠でアヤハブラを誕生させた
坪山さんの影響は大きい、絶対の信頼がある。
僕の頭の上を鳥がグルグル飛んでいる、弱っていくのを待っているかのように思えるが
僕はジーちゃんと唄っていた島唄の歌詞を思い出していた。
「舟ぬ高どもにいちゅる白鳥や白鳥やあらぬ、あれは姉神がなし」
あの鳥は白鳥じゃなくて航海の安全を祈っている女神様なんだよ。
そんな事を考えていると、左腕が動くようになり舟漕ぎのように片方を中心に漕ぐことにした。
波が来たら必死で方漕ぎであわして波に乗っていく、これならいける!
そうやって漕いでいると右腕も徐々に痺れがなくなり感覚が戻ってくるのがわかった。
ここからはあまり記憶がない、ただいえるのは最高に楽しい時間を過ごしていたと思う
必死で波を追いかけ順位など関係なく、その時の海を純粋に楽しんだ・・・・・・・
気がついたらココヘッドがはっきり見えていた。
周りは山のようなうねりに崩れた波しぶきが顔に降りかかる、僕が想像していたモロカイに
やっと会えた気がしてうれしかった。
無我夢中に漕いだ、、、最後のチャイナウォールを過ぎて橋をくぐるとゴールが見えた。
ゴールをして手を見ると血が流れていた・・そんな手を温かく握手してくれる選手の方達
伴走艇のキャプテン、冗談を言う人もいたがとても温かかった。
その数十分後ヒデ兄がゴールした。
そしてはっぱさんも最後まであきらめず漕ぎ続けた。
あの海を漕ごうと決めた選手みんなが勇者だと思っています。
まだまだ結果を残せていませんが、今回さらに気づいたこともあったし、発見もあったので
今後生かしていきたいと思います。
最後に、応援してくれてるみなさんやいろんな支えがあって漕ぐことができていると思います。
綾蝶節を唄い漕ぎ続けたいと思います。
指も新しい皮が張ってきたので漕ぎ出したいと思います!!
本当にありがとうございました!
